こんにちはアン 第39話(終)『プリンス・エドワード島へ』

 この作品についてはこれまで感想を書いてきませんでしたが、それは「本作開始時デジタル放送を視聴する環境がなかったため最初の1クールくらいまで視聴していなかった」ことが最大の原因なのですが、それとは別に「著名な作品の続編を著作者本人の同意もなく(たとえ遺族の許可があったとしても)書かれたものは認めん!」といった狭量からでございました。
 ですから視聴環境が整いましたあとでも観るつもりはなかったのですが、つい観ちゃいましたら、ね。「ああっ、アンがいる」と後はもう(笑) おっさんたちのアンがいたのですよ(大笑) ですがやはり最初から視聴しておりませんと話が見えない部分もありましたので感想は自重していた次第でございました。
 作品自体は丁寧に丁寧に作られた良品でございましたし、少なくとも私はここで描かれたアンは「赤毛のアン」に繋がっているように思えました。アンはお喋りで、空想好きで、喧嘩早く、正義感溢れ、優しい女の子でした。もうそれだけで十分。
 まあ些かドラマチック過ぎた部分もございましたが、それもアンのパーソナリティーを「魅せる」ための仕掛けと思えば自然に微笑んでしまえるレベルでございましたので問題はございません。
 唯一「分かってない」と思えた事は、たとえ原作になかったとしてもラストシーンは「桜が舞い散る駅のホームでボストンバッグに腰を下ろし頬杖をつきながらマシュウを待っているアンの横顔」で締めなかったことでしょう。
 それでこそ二つのアンの物語は完璧に重なったのですから、そうでなかったことに落胆いたしました(笑) そこまでやると「あざと過ぎる」とスタッフの方々は考えたのかもしれませんが、かつて「赤毛のアン」を観た人たちが望んでいたであろう場面を見せることはその人たちへの最大の贈り物だったのに、その機会を永遠に失ってしまったと考えますと・・・、惜しい、実に惜しい!!
 そしてもうひとつ残念なことは、こうした素晴らしい作品が限られた視聴者しか観る事が出来なかったことでございます。まあいつかNHKのBSで再放送してくれると思いますが(笑) それまではDVD頼みになってしまいそうです。
 監督の谷田部勝義さん、シナリオディレクターの島田満さんをはじめスタッフ各位の熱意の伝わる作品でございました。・・・またこの枠は消滅ですか、残念でございます。