こばと。第十話『・・・オルガンと少年の日。』

 小鳩が藤本の少年時代を清花先生から聞くお話。彼の頑なな態度はどのようにして形成されたのかが明かされた・・・って、そんな大仰なお話に仕立ててはおらず、可愛らしいエピソードとして処理する辺りはスタッフのセンスの良さでしょうか。
 藤本が清花先生に惹かれる原因になった出来事も、それを受けての藤本の心が開く様も、見ようによっては動機としてもきっかけとしても「弱い」といえなくも無いのですが、刺激的な内容の作品が多い中で「地味」であるということも差別化の方向としては正しいように思えます。
 「地味」と書きましたが作品から受ける印象は「春の日だまり」といったもので温かく、それでいて華やかさも感じておりますので地味というより「地に足が付いた」といったところでしょうか。これからも小鳩の個性が損なわれない方向でお願いしたいものでございます。