こばと。第九話『・・・夏の記憶。』

 幼馴染みの水橋なつきと森川ゆきのが仲違いしてしまったお話。
 後になって振り返ると笑い話でしかないことも、その瞬間はどうすることも出来ず悲しみにくれてしまう二人の気持ちが(似た様な経験をしたことのある人でしたら分かると思いますが)痛いほど伝わってまいりました。
 口をつくのは相手を傷つける言葉ばかりで、拗れてしまった関係は酷くなるばかり、と。いつもはあまり小鳩の存在に必然性を感じないのですが、今回のような時は無関係の第三者として彼女は必要でございますね。これが色々と考え込んだりどちらか一方に肩入れするようなキャラですと仲裁どころか悪化させるわけですが、小鳩の「ニュートラル」な性格がここでは生きておりました。
 仲直りのきっかけが「ストラップ」といった他愛のないものでしたが、元々お互いの成長が眩しくて、といった些細なことでしたから下手に盛りあげようとしないでまとめた事は良かったかと存じます。