化物語 第十話『なでこスネイク 其ノ貮』

 「人を呪わば穴二つ」とは他人を呪い殺そうとするものは自分の入る墓穴も掘るリスクがあるということで、本編もそのような展開でございましたが、そのリスクを背負い込むのは呪いをかけた当人が背負い込むべきものであって、第三者がどうこうしようというのは僭越じゃないかい?という意味の忍野の台詞が後になって効いていたエピソードでございました。
 ここまで三つのエピソードは悪戦苦闘しながらもなんとか解決できた阿良々木くんでしたが、二つの意味で自分の力を思い知る事になった、と。ひとつは呪いをかけた相手を救えなかったこと、ふたつめは呪われ苦しんでいた撫子を前にして「呪いをかけた相手まで救えると考える」身の程知らずを。
 本作が「怪異に遭遇した高校生の奮戦記」であれば、あえて「挫折」を描く必要があったのかどうかは分からない(もちろん物語の構成上必要な流れであることは否定いたしませんが)のですが、原作小説の宣伝に見られる「青春におかしな事はつき物(憑きものか?)だ」という惹句を深読みすれば、「怪異」というのは表面的にはこの世のものではない何かでしょうが、別の見方をいたしますと若者に降りかかる世間の荒波、通過儀礼、あるいは世の不条理なのかもしれない、と。
 阿良々木くんは飄々と、あるいは苦闘しながらそれらに立ち向かい勝利を収めてはいても、時には打ち負かされ挫折することもある。・・・といった見方も青春小説(本作はアニメですが)としては可能なのでは、・・・些か無理がありますね(笑)
 神原の「助けるべき相手を間違えないでくれ」という台詞はそのままの意味にも取れますし、道に迷う阿良々木くんに対しての指針とも取れ・・・ないかなぁ。
 色々な意味で「シャフトならしょうがない」(@神谷浩史by「さよなら絶望放送」)状況らしいのですが、ヒロイン毎のキャラクターソングは健在。これはこれで嬉しかったりするのですが、そのしわ寄せが本編に出てきますと少し複雑。
 阿良々木と二匹目の「蛇」が格闘するシーンくらいはもう少し「絵」で見せていただきたかったと思いましたし、撫子の悶絶シーンも「狙っていた」のでしょうから動かして・・・いや、あのシーンを動かしてしまうとアウトか(笑)
 放送コードも制作時間も色々な意味でギリギリを見極めているという事でしょうか。次回は新章。