うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜♯010『沈黙する心』

『「光」は自分自身が出す輝きで全てのものが見えなくなってしまったのじゃ。そう、手を伸ばせば届く距離に友だちでさえも。それどころか自分の体も顔も見ることができなかった。そこに居ることは分かっているし、「ある」ことも分かっているのに。でもお互いの事を知る事ができない。寂しくて寂しくて「光」は泣いて暮していたそうじゃ』
『可哀相・・・、「光」はどうなったの?おじいちゃん』
『そんな「光」を哀れに思った神様が「闇」を連れてきてくれたんだよ。』
『「闇」?』
『そう、「闇」は全ての光を吸い込んで真っ暗闇の世界に住んでいたのじゃ。』
『「光」と逆だね、おじいちゃん』
『そう、そして「闇」も「光」と同じように悲しんでいたのじゃ。なにも見えない世界の片隅で、な』
『それでどうなったの?』
『「光」と「闇」が出逢った瞬間、世界は美しい色で覆われたのじゃ』
『えっ?どうして』
『「光」と「闇」の、お互いの強すぎた力を、お互いの強すぎた力で打ち消しあったそうな。それから「光」と「闇」は大の仲良しになっていつも一緒にいるんだとか、お互いの笑顔を見ながら、の』
『よかったね、おじいちゃん!』
とうい昔読んだか聞いたかしたお話を思い出しました。出典は不明で、内容もうろ覚えですが(笑)
 人(マリンたちは「人」ではございませんが)は「光」だけでは生きて行けない、そして「闇」を抱え込んだままでも生きて行けない。ふたつは争うものではなく背中合わせで生きて行くものという事にマリンたちが気がつく辺りが着地点かな?
 であればこの台詞を贈りたい。
「我々は戦うべきではなく・・・、愛し合うべきだった!」