夏のあらし! 第6話『恋におちて』

 新房監督の作品を全て見ている訳でもなく、むしろ「絶望先生シリーズ」でようやく認識した新参なのですが、印象としては「小ねた」が中心で(本作においてもOPの歌詞を毎回変えたり、EDを変更したりと面目躍如でございます)あまり長いシリーズは得意じゃないのかも?というものでございました。
 本作も前回までの印象は「軽い笑いの積み重ね」というものでございましたし、「映像を扱うセンス」という抜群な道具を持っていながら、その道具で何を伝えようとしているのかが今ひとつ不明というのが私の評価でした。
何も観ていなかった
 早い話がそういう事でございました。うん、恥を晒すのもこういう作品を観てなら気持ちのいい物でございます。「店長とカヤ」のあの時代の不器用な恋。「女」に反発しながら「女」でしかない己に対する様々な感情を処理しきれないでいる「潤」の胸のうち。多少喋らせ過ぎの部分もございましたが、絶妙なカット割がこうした感情を雄弁に語っておりました。・・・映像作品はこうでなくてはいけません。
 白眉は「空襲に巻き込まれた潤の恐怖心」でしょうか。ここも細かいイメージカットと独特な作画を積み重ね・・・、映像論を語れる知識がございませんから単刀直入に書きますが「画面を観ていて潤の恐怖心がストレートに伝わってきた」と。映像の持つ力を見せていただいた、そういう事です。
 本作は『真マジンガー衝撃!Z編』と同じく最終回を始めにやった(一話では主要登場人物が全員同じフレームに納まっておりましたから、多分あれが「表」の最終回なのでしょう)訳ですが、これからそこに向かってどういう展開を見せてくれるのか、そして「本当の」最終回がどのようなものになるのか。構成も含めて大変楽しみになってまいりました。
 それにいたしましても、カヤがあれほど「過去の改変」に気をつけているというのに、あらしの無頓着振りはどうしたものでしょう(笑) これにも何か意味があるのでしょうか? 気が抜けない作品でございます。今回の絵コンテ・演出は「飯村正之」さん。憶えておきたいと思います。