『Papa told me〜私の好きな惑星〜』

Papa told me ~私の好きな惑星~ (クイーンズコミックス)

Papa told me ~私の好きな惑星~ (クイーンズコミックス)

 最新刊を今更購入。これだから情報弱者は困ります。地道に書店を覗きませんと買いそびれてしまいます。まあそれも楽しいのですけれど。
 少女漫画に最初に接したのは水野英子さんの「ファイアー」で、近所のお姉さんに借りてそれまで読んでいた少年漫画とまるで違う世界に驚愕したことが始まり。少年漫画が外向きのベクトルなのに対し、少女漫画は内側に突き進むベクトルとでも申しましょうか。どちらが優れているということではなくて、目指す方向性が違うのですから描かれるものも全く違います。
 最近ではその垣根も随分低くなっているように感じておりますし、少年誌にたくさんの女性漫画家さんが連載を持つ時代になりましたが、榛野なな恵さんの描かれるような「現実と空想世界」を自由に出入りし、それでいて違和感のない作品にはなかなかお目にかかれません。
 この本の中でも知世(ちせ)ちゃんはその境目を軽々と歩いておりました。そして時に立ち止まり思考し、「一瞬」を切り取ってその奥底にある「永遠」を見つめます。作中の登場人物の多くは作者の投影でしょうから、彼らの目を通して見える世界に榛野さんの思考の豊かさを感じ、それを垣間見れた幸せを噛み締めることができます。
 榛野さんの作品では「男」はあまり良く描かれておりません(笑)が、同書内「Round Table」に出てきた「青春を背負ったまま」の河島はそこそこ好意的に描かれていて良いお話でした(笑) ま、あくまでも「子供扱い」なのですがね。榛野さんにしてみれば「男なんていつまでも子供」ということなのでしょうが、それが嫌いという訳でもないということは読んでいればわかります。
 さて、そろそろ前刊の
Papa told me ~街を歩けば~ (クイーンズコミックス)

Papa told me ~街を歩けば~ (クイーンズコミックス)

も入手することにいたしましょうか。以前のように「プッシュ」してくださいな、集英社さま。