屍姫 玄 第24話『一〇八の嘘』

 「屍姫」の成り立ちと、それにまつわる「嘘」が暴かれたお話。ある程度予想できた地点に収まりそうな流れでございました。
 會川先生の風呂敷の広げ方、広げている最中の所作の美しさや見事さは大変好ましく感じておりますが、一方たたみ方にはあまり共感できなかったりいたします。物語として破綻はなく「手堅い」とは思うのですが、突き抜ける快感というものが少ないのかなぁ・・・。まあ、これは個人の「受け取り方」の問題なのですが。
 「赤紗」の光言宗に対する恨みというものが物語の発端とし、光言宗の欺瞞を討つ! とした姿勢は理解できるように作られておりました。そして観ている途中から「それは君が弱かったからでは?」と感じさせ、続いてそれを指摘するかのような描写に至ったところで思わず「上手い」と膝を打っちゃいました(笑) この流れは「さすが會川先生」と賞賛したいと思います。
 それとは別に「百八体の屍を倒したら成仏できる」というのは方便であるということを見抜けなかった赤紗とひびきは哀れで不幸だったけれど、それはその程度の結びつきしか出来なかった二人の「弱さ」にしか感じられなかったというのは脚本的にも「弱い」ような気がいたしました。
 とはいえ「縁」を切られて窮地に陥った屍姫たちが、自分たちと契約僧を結んでいたのはそんなものだけではなく「絆」でしょうと立ち上がる場面の見せ方はやはり見事。・・・どっちやねん(笑) 場面毎に感想が変わってしまう忙しいエピソードでございました。
 今回は作画も凄い事になっておりまして、ヌルヌルと気持ちよく動いておりました。高画質・大画面で観たかったと本気で思いました。次週最終回。どこに落とすか楽しみにしたいと思います。