屍姫 玄 第22話『生者の価値』

 會川先生の脚本は良い意味で「はったりの効いた」作風ですから「これでもかっ!」と怒涛の展開でございます。
 屍から産み落とされて「愛を知らずに育った」旺里と「死ぬためだけに生まれた」北斗の相似性、その北斗と対決するのが血縁関係のあるマキナだったこと。生者と死者の間に如何程の違いがあろう、という強い思い。こういう配置は本当に上手いものです。ただし會川先生は段取りは上手いのですが、まとめることに苦労しているように見えてしまうことが難点でしょうか(笑)
 ここまで「生きること」に執着しているように見えなかった旺里が、全てを知った上で生きることを選び、しかもマキナと本当に心を通わせて屍を退けてシーンが感動的! ・・・なはずなのですが、肩透かしを食らわせれてしまいました(笑) なんでしょう、最近はこういう場面で盛り上げるの禁止、というのが流行なのでしょうか。
 確かに一方的に盛り上げて「ここ、感動するところですよ」然とした演出は勘弁して欲しいですが、「ここで盛り上げなかったら何時盛り上げる!」という場面では正しく盛り上げていただきたいものです。恥ずかしがらないで、ね。
 熱くなることが恥ずべきものだという風潮だとしたら、それは少し悲しい風潮でございます。作り手が熱くならなかったら観る方だって熱くなれないでしょうに・・・と本編となんの関係もない感想を書いてますね、反省。
 そして大量ゾンビ製造ですか(笑) う〜ん、ここまで「未練」だの「性」だの散々講釈を聞かされてまいりましたのに、最後の手段がこれですから、會川先生は侮れません(笑)