地獄少女三鼎 第二十二話『華と月』

 双子の姉妹「結香と純香」の物語。お話としましてはオーソドックスと書いて宜しいかと思いますが、典型的な近親憎悪による地獄流しでした。
 アニメでは双子であっても別々に声優さんを用意するのが当たり前だと思っていましたので、この二人を声優ではない、失礼ながらそれほど上手いとも思えなかった「加藤夏希」さんひとりにキャスティングした意味がいまひとつ理解できなかったのですが、ラストシーンで氷解いたしました。
 上手い声優さんですと、双子を演じたとき微妙に変化を加えて「今のキャラはこのキャラ」というヒントを視聴者にくれたりするのですが、加藤さんですと残念ながら(笑) そこまでの「演じ分け」はできておりません。ですから最期まで判別がつかない効果はあった、と。もっとも、上手い声優さんは監督のオーダーがあればどうとでも演じるでしょうから、これはあくまでも「結果オーライ」を好意的に書いているだけに過ぎないことは、私自身が自覚しております(笑)
 アニメで双子を描かれますと、なにかしら特徴がございませんとまるで判別がつかないという「欠点」を抱えることになります。例えば生身であれば「マナカナ」でもなんとなく区別はつきます。それは生身の人間がかもし出す雰囲気とでも申しましょうか。しかしアニメはそうした「雰囲気」による判別は使えませんから、「髪型」「黒子」「痣」「喋り方」などで区別するのですが、今回「「黒子」以外は全て使用しながら、ことごとく「消す」作業をする念の入れ方でございました。
 最後の「ろうそく」シーンでも「結」か「純」の上を流れるロウで判別できないようにする徹底ぶりで、「どちらが」「あい」に依頼しそして流されたのかとうとう分からず終いで、視聴者を不安定な気持ちにさせたまま終わらせるという狙いは、こうしたスタッフの地道な作業で完結した訳でございます(笑) 本当に見せ方に手を掛けている作品だと改めて感心いたしました。
 さて、本編以上に怖かったのは三者面談にも登場しなかった「ゆずき」の母親や、幼かった頃のことを思い出せない「ゆずき」の方でした。ジワジワとくる恐ろしさがございます。残り4話で収拾してくれるのでしょうか? それとも4期突入でしょうか?(笑)