キャシャーンSins 第19話『心に棲む花を信じて』

 今週分だけ抜き出して視聴いたしますと、先週分と何が違うのかよく分からないのですが、2本を連続して視聴いたしますと(多分)違った「趣」のある作品のような気がいたします。もっとも私はネット視聴ですから、先週分は記憶を頼りにするしかないので思い違いもあるとは存じますが。
 この2回はリューズに焦点が当てられていて、先週は過去と決別して明日を生きようと決意したお話でしたが、今週はその歩き出した明日には未来がないと絶望するお話でした。もう少し踏み込むと「キャシャーンと歩く未来がない」と書くのが正確かもしれません。
 カストルヘレネというロボットと遭遇し戦うことになり、最中ヘレネに「守られなければ生きる事も出来ない。哀れな女だ」と罵られたときリューズは自分の弱さを知る事になったのですが、たぶん彼女はもう気が付いていたのだと思うのです。姉とルナの敵であるキャシャーンを倒す気がなくなっていること、それ以上にキャシャーンに「恋」をしていることにも。
 正直おっさんには身悶えるような気恥ずかしさがあるお話でしたが、リューズの一途さが伝わってくる良いエピソードでございました。例え「滅び」が来ようとも「明日」ではなく「今」を生きる決意をしたリューズと、それを優しく抱き止めるキャシャーンのシルエットが哀しくも美しいラストカットでした。今回の脚本は「吉田玲子」さん。この内容のお話を、おっさんにも伝わるように書かれた脚本は「流石」の一言です。
 今回は「色」も素敵でございまして、本作は「」が基調になっておりますが通常の「冷たい青」ではなく「優しい青」が内容と相まっていつも以上に印象的でございました。