鉄のラインバレル ♯14『流れるは血、失うは涙』

 欲を言えば桐山によるクーデターの緊迫感が欲しかったところですが、これをどんなに描き込んだとしてもかつて押井監督がやられたお仕事*1には「テレビサイズでは」及べないでしょうし、本作においてソレが主題でもございませんから、まあこんなものかと納得。
 桐山の壊れかけた(え、既に十分壊れておりますが)性格がなかなか楽しめました。原作の構成が上手いのか本作スタッフの見せ方が上手いのか、それとも「速水 奨」さんがお上手なのか(笑) 判然とはいたしませんが、本作のもう一方の「主役」である加藤久嵩が悪役然としておりませんから、作品の彩(いろどり)としてこうした人物が一人混ざってくれるだけでも視聴意欲が違ってまいります。
 その加藤久嵩ですが今回ようやく表舞台に出てきたと思ったら、あの演説ですよ(笑) あれは監督か録音監督か知りませんが絶対オーダーしていましたね。「日本」の単語を聞くたびにあの方を思い出して笑っていたのは私だけではないはずです。
 道明寺の裏切りは間違いなく的組織への潜入のためでしょうから「お約束」ですが、森次の裏切りはどちらでしょうか。もともと感情表現のないキャラですから、どうとでも取れる便利な存在でございます。たとえ「お約束」な結果であっても熱い過程を見せていただければ、と期待したいと思います。
 ピンチで何処ともなく消えた浩一と絵美とラインバレル。さあ、次週はどうなるでしょうか? で終わっても構わないところにあのラストカットです。あれは「矢島英明」くんですよね? 手垢まみれな演出ではございますが、飽きさせないという大儀の前では、それは正義でございますから躊躇うことなくいいぞ、もっとやれ! とエールを送りたい気分です。

*1:機動警察パトレイバー 2 the Movie」のこと