テレパシー少女 蘭 第26話『蘭と翠〜私の中に何かがいる〜』(終)

 掉尾を飾るに相応しいエピソードだった、とは思いませんでしたが、それなりに盛り上がったようにも見えましたし、印象といたしましては悪くはなかったかと思います。語られた内容について同意できかねる部分があったとしても、です。
 シリーズ全体を眺めますと、原作付きのエピソードよりもむしろオリジナルの脚本(と私が思っているだけなのですが)の方が作品としては面白く、それなら徹頭徹尾オリジナルで押し通してくださった方が良いのにと思わずにはいられませんでした。
 これは原作が悪いわけではなくて、他の作品の時も書いておりますが媒体が違う作品の背負う宿命のようなものだと感じております。小説であれば作者が一冊の長さを考慮してその媒体に相応しい構成で仕上げてくださる。それをテレビのフォーマットに合わせてアニメにするという行為はどこかに歪みを生じさせてしまいますから、それをもって「原作の方が面白かった」「アニメの方が上だった」と単純に語る事はできません。
 優れた原作を持ちながら凡庸な映像作品なぞ幾らでもございますが、原作と同等あるいは原作以上の映像作品となりますとそう多くはございません。それは極一部の天才的な監督にしか果たせないお仕事でございましょう。誤解して欲しくありませんが本作の大宙征基監督が無能と書いているわけではございません。オリジナルな部分で見せてくださったものを思い出しますと、むしろ優秀な方だという認識でございます。
 しかし原作に縛られた(ように見えた)部分の窮屈さを思い出しますと、もう少しフリーハンドなお仕事ができる環境であったのならとどうしても思わずにはいられないのでございます。
 最終回で見せてくれたような「蘭と翠」の友情を縦糸に、二人の不思議な力を横糸で、中学生の彼女彼等の身近な不思議や疑問、世の中の(そう大きくはない)不条理に立ち向かってゆくというオリジナルなお話をもっと観ていたかった作品でございました。