キャシャーンSins 第11話『己の使命のもとに』

 「神は自ら助くる者を助く(God helps those who help themselves)」という言葉がございます。日本には念仏を唱えれば極楽浄土に行けるという宗派もありますが、西洋人の思考はアクティブですから努力しないものに明日、いえ今日もないといったところでしょうか。今回はそんなお話でした。この場合の「神」がルナを指すのか他の何かを指すのか現状では判断がつきませんが、大切な事は「生きるための強い意志」ということなのでしょう。
 3話で「安らかな死」を受け入れていたロボットたちがキャシャーンの出現で一変したのとは対照的に、今回ジンは動揺することなく「己の使命」を遂行することを優先させました。これが「諦めてしまった者」と「諦めていない者」との差で、ここまで本作を観続けてきた者にとっては嬉しい演出でございます。
 番組当初は「滅び」に怯えていたり、絶望したり、諦めた人(ロボットなのですが)を中心に描かれておりましたが、中盤に差し掛かって「運命を受け入れない人」「運命に立ち向かう人」が多く描かれるようになってまいりました。鬱々としたお話が少しずつ希望が見えてきたようなお話に変わりだしましたが、これは「尺」の長さと構成の勝利でございますね。当初の「鬱展開」がなければ「希望」の意味が十分には伝わらなかったでしょうし、時間的余裕がなければあんなお話に手間も掛けられなかったことでしょう。やはり「創作者」にはある程度の「時間」を与えるべきだと思います。
 ジンも再登場するのでしょうか? その可能性は高そうですが、とにかく今は「ルナ」の登場が待たれます。彼女が登場して「世界」は再び動き出すのでしょうから。