RD 潜脳調査室 第26話『リアルドライブ』(終)

「キーワードは愛」
 正直に書きますが、作中で重要な意味を持っていた「メタル」や「地球律」の設定はよく理解出来ませんでしたし、興味もあまりありませんでした。どうもその手の単語が出てまいりますと、瞬時に耳を遮断するような体質になっているようでございます(笑)
 作中に散りばめられたそうした用語を、私のような頭の悪い視聴者にも理解できるような、もっと平易な説明をしようと思えば出来るスタッフだったと思うのですが、仮にそうした場合この作品は全く印象の違った作品になったことでしょう。断言はできませんが、硬質なSFサスペンスのような。それはそれでアリだとは思います。ただ、その場合私はこの作品を観なかったことでしょう(笑)
 結局最後まで中途半端な理解度でしたが、この作品を観る上ではあまり問題はありませんでした、多分。26回かけて描いてきたこと(そしてスタッフのやりたかった事)は「謎」や「状況」ではなく、キャラクターたちの生き方の方だったからだと思います。人と人をつなぐキーワード、それは「愛」。当たり前すぎて誰しも忘れてしまう単純な答えを導くのに必要だったのが、一見無関係のように見え、それでいてパズルのピースのように全てを組み合わせる事ができた26回分のエピソードだったということなのでしょう。
 「待っていた」久島が先に行き、「遅れた来た」波留が今度は自分の足で「時」を刻むラストシーン。先週分を観た時は波留も海に消えるのだろうと思いましたが、波留自身はまだ32年分の人生しか生きていないわけですから「海」と一体化するほどの経験もございません。「お前はもう少し経験値積んで来い」という久島のサービスでしょうか(笑)
 他にも「風」としてのミナモの役割ですとか、ソウタとホロンのことですとか、書き残しておいた方が良いことは多々ございましたがそれは4・5年後に観返した時の楽しみとして残しておきたいと思います。NHKの番組でしたらならすぐに再放送しそうなのですけれども(笑) 観返す度になにかしら新しく見えてくるものがあると思いますし、見逃した仕掛けも発見できることでしょう。そういう密度の作品でございました。
 最後にインパクトのあるキャラクターデザイン(実際あのデザインでなければ最初に視聴を止めたかもしれませんでした)で衝撃を与えてくれた(笑)上山徹郎氏、全編に渡って目の行き届いた世界を作って下さった古橋一浩監督とシリーズ構成の藤咲淳一氏、見事な演技を聞かせて下さった森功至さんはじめ他の声優さんへの感謝を記しておきたいと思います。
「ありがとうございました」