無限の住人 第四話『天才』

 新しい「変態」宋理登場。ただし表題の「天才」は宋理を指すのではなくて、天津影久のことでございます。
 登場人物のほとんどが「壊れた」方ばかりですが、原作の面白さは人間の奥底に潜む「狂気」もしくは「本質」とはこんなに醜いものなんですよ、とつきつけているところにあるように思いますので驚くにはあたりません。そうした誰の中にもあるであろう醜さを自覚していませんと、この手の作品は嫌悪感しか感じられない「キワモノ」としか認識されないと思います。
 で、真下監督は受け入れられるように苦心してマイルド化しておりますが、それが成功しているかどうかは微妙でございます。それはこの作品から「狂気」を消してしまいますと、作品の魅力そのものも消してしまいかねないと危惧するからであります。
 それと見せ場にひとつであるアクションシーンも「省略」が多く(もちろん「コード」というものがあり、残虐なシーンは直接的な表現が憚られるだろうことは十分察しておりますが)、ここまで配慮が必要だとしたらあえてアニメ化する必要があったのかと思いました。
 作画や美術、それにレイアウトは高水準のものを見せて下さっておりますので残念といえば残念でございます。もっともそれだけでも観る価値はあるとは思うのですが・・・。