RD 潜脳調査室 第20話『その足で』

 毎回英語の副題がついておりまして、今回のそれは「identity」でございました。非力な英語力を総動員しますとこの意味は「独自性・主体性」というものだったと記憶していたのですが、気になってン十年ぶりに辞書を開きましたら、他に「同一であること」「本質」「正体」という意味もあるようでございます。どれを指しての副題なのかと考えましたが、「誰の」アイデンティティなのか主語がはっきりしませんと断定は憚られますし、逆にその曖昧さから恐らく全てに係っているのではというところに落ち着きました。
 波留が自分の足で歩く事を決心したのは彼が彼らしくあるために必要な事(海に潜るため)だと気が付いたからですが、ミナモがその波留のバディとして必要とされるために電脳化するというのはまるで主体性のないお話でございました。そんな彼女を諭したのが若い頃の波留(久島が彼のために用意した義体を使用)だったというのが面白い演出でございました。
 「あるがまま」のミナモで構わないという結論は予想されたものでございましたが、なにごとも「自分で結論を出す」ということが大事ですからこの終わり方は後味のよいものでした。ただ電脳化した場合のデメリットというものが今ひとつよく分かりませんでしたが、ミナモが電脳化していないことが今後の伏線でスタッフの深謀遠慮であるとしたのなら、やはりその辺は説明していただきたかったと思いました。