RD 潜脳調査室 第19話『巡る雫』

 ナイス・イオン!・・・いえ、書いて見たかっただけでございます(笑)
 今回のお話を素直に受け取れば「優れた科学でも自然の前では無力である」というお話なのかもしれませんが、「波留真理」という補助線を加えて視聴してみますと違った受け止め方も出来るような気がいたしました。
 「電脳化」した彼が「メタル」から切り離されたとき、そこには自分の足で満足に歩く事も出来ない年老いた肉体しかないという現実を突きつけられてしまいます。眠っている間に喪ってしまった50年は永遠に帰らず日頃は超然とした態度で周りに接していても、彼の心の中にある「焦り」や「苦しみ」というものがこうした状況になると浮き上がってまいります。
 作中ミナモに手を貸したり気配りをする度に辛そうな表情が浮かんだのは、結局ウムランに背負われた状態からでしかミナモをサポートすることが出来ない自分への嫌悪からのように見えました。この辺は細かかったですが的確な描写で、こうしたところは作画の上手さが生きたところだと思います。
 そうした状態で波留は森の中でメタルに潜り(気合の入ったCGでございました)ノイズと思っていた「循環する水の音」の力を借りて立ち上がることができた訳ですが、これは「人は自然から生きる力を(その気になれば)受け取ることができる」という解釈も可能だと思いますし、冒頭の「優れた科学でも自然の前では無力である」という解釈よりはこの作品らしいと思えます。と申しますのも、もうひとりの主人公・ミナモは生きる力に溢れていますし、これまで彼女の前向きな活躍を散々描いてきたのは否定的な見方をするためではないであろうと思うからでございます。
 さて、そうした中「地球律」と「気象分子」の対立が語られておりましたが、これがこの作品の「締め」のエピソードなのかもしれません。対立と書きましたが「ミナモ」ちゃんがいる以上、科学と自然の「折り合い」を見つけてくれるのだろうと思っておりますが、こればっかりは最後まで観ませんとなんとも言えませんね。
 今週の唯一の不満は「美味しいもの」が登場しなかった事でございます。次週は頼みます(笑)