コードギアス反逆のルルーシュR2『ギアス 狩り』

 シャーリーを殺したのはやはりロロでございました、というところから始まった今回は怒涛の展開で、当方のメモリー不足でそろそろお話についていけなくなり始めました。若い人だと問題ないくらいのスピードなのでしょうが、息継ぐ暇もないと少々困惑いたしました。これがギアスのいい所なのですが。
 メインはルルーシュ対V.V.戦。ギアスに運命を玩ばれたシャーリーのためにギアス嚮団を滅ぼすという作戦を決行しますが、これはどう見ても逆恨みでございます。その能力があったからこそルルーシュは単身ブリタニアと戦えたはずですし、自身もいままでその恩恵に与ってきたというのに、身近な女性が犠牲になったからといってギアス全否定とは論理が破綻しております。
 ですがこれがルルーシュの、というかこの作品の魅力だとも言えるのでしょう。「人間」というものは強さと弱さが同居し、矛盾という説明不能な部分を抱え込んだ存在でございます。そうした所をきれい事で描かないことは可能でしょうが、本作のスタッフがあえて矛盾は矛盾として描く姿勢と、その演技を流行の「リアル」な方向ではなく「舞台劇」のような大袈裟な演技で見せる面白さが、私にはとても好ましく感じられるのでございます。
 今回は派手なシーンが多かったので見過ごしてしまいそうになりましたが、「ゼロ」の存在が否定されかねないシーンも幾つか見受けられました。軍事的に有効でも現場で「非戦闘員」を殺さざるを得なかった人間にとって(しかもその有用性は説明できない)は、ゼロに猜疑心が生まれてもしかたがありません。さらにブリタニアと戦うために有能な仲間を集めた事は初期段階では必要でも、その組織が機能しだすと「ゼロ」というシンボルの存在理由が薄れてしまいます。今回も「ゼロ」抜きで会議が開かれていましたが、「黒の騎士団」にとって今後は無用となりそうな雰囲気もございました。なにやら不穏なモノを感じてしまいました。
 スザクはすっかり悪役になってしまいました(笑) 彼の不幸はスタッフの扱いが悪いという一言に尽きます。時間を掛けて描いてもらえばもう少し感情移入されるキャラだったはずですが、残念ながらその機会は失われてしまい、出演する度評価を落とす羽目になっているように思えます。今回もカレンに「リフレイン」を使うと宣言ですから、別の意味で可哀想でなりません(笑)
今週のルルーシュくん
 ロロくんを「ボロ雑巾」のように捨てる機会を失ってしまいました(笑) まさかコーネリアに邪魔をされるとは思ってもいなかったでしょう。ルルーシュくんにとっては一貫性のある行動(父であるブリタニア皇帝への復讐)で、その障害であるなら何者も排除するということなのでしょうが、それは極めて個人的なことですから周りに理解者がいないことに気がついておりません。この辺が彼の人生経験の浅さと申しましょうか、抜けている部分でございます。
 本人がその事に気がついていないことが彼の最大の不幸であり魅力でもありますが、やはり彼の行く末は地獄しかないように思えてなりません。