RD 潜脳調査室『もうひとつの海』

 本作は舞台や設定に色々と趣向を凝らしておりますが、煎じ詰めますと様々な「人間関係」を描くことを目的とした作品であると思います。これは固別の、という意味ではなくて作品内に登場するキャラを借りて普遍的な「人と人」の繋がりという意味での「人間関係」でございます。
 で、今回は波留とミナモのラブ・ストーリーという直球勝負でございました。ラブ・ストーリーと言いましても人間と人間の間に芽生える「愛」といったところなのですが。寝ているミナモの顔に止まった蜂を払いのけてあげようと、動かない足を懸命に動かそうとしていた波留の行動の源は「愛」故の行為にしか見えなかったものですからそう感じた次第でございます。
 子供時代・青年期を淡々と描写して、そこから先がなにもない波留の虚しさをミナモという「バディ」を得て救われた事を確認したエピソードだったと思いました。人の魂を救えるのであれば、これだって立派な「愛」でございます。
 今回動きのシーンはあまりありませんでしたが、しかしいつも以上に背景美術の気合が感じられた美しい仕上がりでございました。それと海の描写には「永ちゃん」の曲はよく合います。インストのBGMだけかと思っていましたら「時間よ止まれ」は原曲使用という豪華さでニヤニヤしてしまいましたが、詩の内容が今回のお話にシンクロしていたから(あるいは「させた」から)の使用だったのかと納得いたしました。でもDVDの時にはこのまま使えないのでは?と少し心配(笑)
 恒例のユキノちゃんの「美味しいもの」シーンはミナモの夢の中だけでしたので、描写はございませんでした(笑) なにを食べていたのでしょう・・・。