RD 潜脳調査室『純正律』

 電脳化やメタルというデジタルな世界を描いてはいても、この作品は人間の営みに重点を置いているわけですが、舞台がどのような場所であっても人間の本質はおそらく普遍で不変という事なのでしょう。11話まで観てから書くことではありませんが・・・。
 「才能は愛」と断言する久島に笑ってしまいましたが、これはその言葉が一番似合わない人物から出たからでして、演出上の問題ではありません(笑) ひとつのことをやり通すには愛が必要である、その情熱を持ち続けることが才能であるということが今回の肝でした。もっとも久島が否定した「技術」も続けるためには必要なんですが。ただその先に行こうとしたらやはり「愛」が大事だというのは経験的に賛成できました。
 大人(と申しましょうか今回の登場人物の平均年齢の高さは「老人」のレベルでした)ですと簡単に口にすることのできない諸々の言葉や感情を、ストレートに発することができるミナモの単純さこそがこの作品の「救い」なのだと確認できた良いラストシーンでございました。しかしこの作品にSF的な興味を持って視聴している人には不満もあるかも、という心配もございます。私はこのままの路線の方が好みなのですけれど。