『永遠の野原』

今日は早めに帰宅したのですがそれが仇になったのでしょうか、本棚から久しぶりに表題の本を手に取ったのがいけませんでした。つい先ほどまで全巻(16巻!)読み返してしまいました。そしてまた泣いた!(笑)

今はもうありえない
変わってしまったものたち
あたりまえだよ
雲が流れるより速く
僕たちは変わっていく
永遠に変わらないものなんて
ありえない
だけど
色褪せない
なつかしい光景を思い出すたび
みずみずしい
幸福感がよみがえるたび
やっぱり僕は
永遠を
信じてしまいたくなるんだ
永遠に変わらぬ愛ってやつを

これは逢坂みえこさんの代表作「永遠の野原」のラスト・シーンで書かれていた「お言葉」です。読み返しては切ない気持ちに浸ってしまいます。私にはこの本に描かれているような恋愛経験はないので、何故共感できるのか不思議なのですが、このラストシーンに来ると毎回じわりと涙ぐんでしまいます。いい歳をした大人としては誰にも見せられませんが。
思いますに、リアルな年代でないことが重要なのかもしれません。もうすでに失ったり変わったりしてしまった人間の方に、このラストは強く訴えて来るのかと思います。
このお話をはじめて読んだときには、私は作品中で語られている「高校時代」ではなくなっていましたが、自分自身の「高校時代」に帰していただきました。あとから振りかえればたいした事ではない、ほんの些細なこと・・・。でもあの頃の自分にはとてつもなく大切だった事。そんな事を思い出させてくれた作品でございます。