夏目友人帳・参 第三話『偽りの友人』

夏目の過去を知る柴田と、柴田の好きになった村崎のお話。
今回はレイコの友人帳のお話ではなくて、夏目の「友人帳」のエピソード。夏目にはレイコのような手に取れる「友人帳」はございませんが、彼の心の中にもレイコと同じように「友人帳」はございます。
それは多分「思い出」や「記憶」といったものなのでしょう。
レイコのそれは「妖」とのものしかございませんが、夏目のそれは時として「人」との記憶もございます。…さて、どちらの「友人帳」が幸せなものなのでしょうか?
今回の柴田との「友人帳」は夏目にとって不幸の記憶でございましたが、レイコの友人帳に記載されている名を妖に返すとき、レイコと妖の幸せな時間を夏目が感じるように、時を経て再会した柴田との関係も同じように幸せを感じたようでございます。
それは多分夏目の周りにいる友人や家族の存在が大きく、かつては拒絶していたすべてのものを受け入れるだけの「余裕」を夏目が持てたからではないでしょうか。
それにしても儚い存在の妖が、儚い夕焼けと同化して消えて行くシーンのなんと綺麗な事!
白黒で描かれた原作のこのシーンも素敵だったのですが、色と音がついて徐々に消えて行くシーンはアニメならではでございますし、本作をアニメにした意味もあろうというものでございますね。
大満足。