鋼の錬金術師 第33話『ブリッグスの北壁』

 「希望」というには実に頼りないものを目指して「北」へ向かうスカーの前に現れる一族の仇・キンブリー。一方錬丹術の謎を解き明かすためにメイを追って同じく「北」を目指すエルリック兄弟の前には型破りな軍人・オリヴィェが登場。そしてメイはマルコーと共に「希望」に辿り着き解読を始めるのだった、というお話。
 このオリヴィェというキャラクターの佇まいは色々と屈折したものを漂わせておりましたし、マルコーやスカーも深い闇を抱えております。もちろんキンブリーとて同様で(もっとも彼の場合は単純な「狂気」かもしれませんが)、今回の「ブリッグス編」はそうした心を病んだ人たちが物語を引っ張るようでございます。
 言い換えますと「心を凍らせた」人たちの物語で、その舞台を凍て付く大地に選ぶ、つまり心象風景と舞台設定を重ね合わせるといった作者の配慮が生きていた・・・、と妄想してみました(笑)
 その凍りつく大地で早くも激突するスカーとキンブリーでしたが、キンブリーの「体調がまだ万全でないから」という理由で初戦はスカーの勝ちでしたが、同じ炎を操るマスタングが「雨のときは役立たず」という設定がありますが、キンブリーの炎は雪の中でも有効なのでしょうか? その辺も説明していただけますと良かったのですが。
 さて、当然物語は凍りついたままで終わるはずもなく。その凍った心を熱い心で溶かすのが主人公のエルリック兄弟の役目だろうと存じますが・・・、登場する女性キャラはなんでこうも「強い女性」ばかりなんでしょうかねぇ(笑) そしてエドもアルも女性にはからっきしですから不安は募る一方でございます。「役目」を果たされん事を祈りつつ、次週に続く。