夏のあらし! 第11話『世界は二人のために』

 確定した未来を守るために過去を変える…その行動もあらかじめ約束された「運命」ですよねー、というお話でございました。
 えーと、今回は感銘した方から書きましょう(笑) 短い「イメージ」を積み重ね何かを表現するというのは、この作品では定番の手法でしたが実に効果的でした。大上段に構えなくても、「死」を直接描かなくとも確実にその恐怖や理不尽さが伝えられる、いえ、直接的でない分効果は増すのだという証明かと存じます。
 さらにその時代の負の部分を描いた後で、女学生の楽しそうな音楽会を描き、無邪気な彼女たちの笑顔を消してしまう戦争への嫌悪感を増大させる演出の見事さにも感心いたしました。「これこれの理由だから戦争は反対」といった思想信条に訴えかけずとも、この描写だけで十分です。もう胸が一杯。そうした物語を受けた後で「やよゐと加奈子」の呪縛が浄化されエンディングに繋がる流れは最高でございました。
 で、少し残念だったところ。あらしとカヤが音楽会で「早春賦」を唄っておりましたが、あそこの歌唱方法が「今風」の唄い方だったのが残念。もしかすると「あの時代」に「あの歌唱」を持ち込んだほうが新鮮と判断したのかもしれませんが、やはり「早春賦」は朗々と歌い上げていた方が暗い時代のなかの「清々しさ」を感じさせたのではなかったかと。
 あとCVの白石涼子さんと名塚佳織さんの声質は全く違うと思いますが、この時ばかりは似ていたのも少し残念でした。別タイプの歌声のほうが「うっとりと聞き入る女学生」に説得力があったと思いました。
 エンディングの堀江由衣さんの「喝采」はなかなか聴かせてくれたと思いましたが、タイトルが「世界は二人のために」だったのに何故「喝采」だったのでしょうか(笑) 
 考えさせられるお話なのですが、本当に単純には感動させてはいただけませんね。これも監督の持ち味といえば持ち味なのでしょうが、テレ屋さんなんだから(笑)