東のエデン 第5話『今そんなこと考えてる場合じゃないのに』

 咲、内定を貰っていた会社に振られるの巻。
 この一連の流れから読み取れることは「欺瞞」ですとか「不誠実」その他諸々の・・・、上手い言葉が見つかりませんが最初に頭に浮かんだのは「体裁と嘘で固めた社会に対するやり場の無い若者の純粋な怒り」というものでした。
 こうした「怒り」は若者であれば誰しも抱く想いですが、しかしそれを打破する手段も知恵も持たない若者はいつしか唾棄していた「そちら側」へ属すことになってしまい、そうした感情を持っていたことすら忘れてしまいます。
 ここでの咲の感情の吐露には共感はできるのですが同情はできない部分もあり(いかような事情があれ、社会人として指定された日時に出向けないというのは切られて当然だとおもいますから同情はできません。
 同時にあの部長の対応は最低の部類であり、それに同調するOLの言動も最低である)、一見しますと咲の「逆切れ」とも受け止められ兼ねませんが、これを受けて朗がセレソンとしてなすべき事を自覚した、あるいは思い出したという流れは、登場する人物を違和感なく使った実にうまい流れでございました。
 失踪したニートのひとりが朗と接触するシーンがございましたが、あそことこの咲のシーンから推測できることは「生産性のない若者を再生し、ソレを持ってこの国に変革をもたらす」ということだったのかもしれません。もっとも記憶を消す以前の朗と現在の朗の目的が同じとは限りません。いえ、消去前の朗が計画に行き詰まり記憶を消したという可能性のほうが高いのかもしれないのですが。
 閉塞したこの国に風穴を開けること、それが「より良い国」を作ると朗は考えたのかもしれません。No.11「白鳥・D・黒羽」が言った「ロマンチスト」とはそういうことなのでしょ。私個人といたしましてはこの時点で朗が過去を探すことを止めていただくと狂喜するのですが、どうでしょう。
 目的を見つけた時点で過去は関係ない、未来を見つめ今を生きる。それが「格好いい生き方」だと思いますが、・・・「救世主ゲーム」という過去と今を繋ぐ抜け出せないものの中にいる朗はそうはいかないのでしょうね(笑) 
 大杉くんについても少しだけ触れておきましょう(笑) いや、あんな扱いを受けている時点で気付けよ! 押すならもっと強引じゃないとダメだろ! 
・・・ああっ!その女に付いて行っちゃダメッ!
 ということで以下次回。上手いヒキですなぁ・・・。