黒神 The Animation Episode04『追跡者』

 A群(クロと慶太)とB群(トライバルエンド)の闘いが本格化する前にC群(エクセルとシュタイナー)を登場させて物語に厚みを持たせようという試みは、現時点においては成功しているように見えました。そしてC群の介入によってA群の絆が深まって行く過程を促進する効果も狙っているのだと思いますが、この構成のおかげで慶太くんの不安定な心境が早く解消されるのでしたらありがたいのですが。
 主人公が突然自分に降りかかった「運命」に戸惑い苦悩することは当然で、本作の慶太くんも現在はこの位置におります。ここで慶太の心の揺れを徹底的に描きたいという創り手の欲求も分かりますし、そうした事に腐心する作家さんも大勢いらっしゃるのですが、アニメーションという映像作品で、しかもTVシリーズでそれをしてしまいますとよほどの天才が指揮を取らない限り作品の爽快感が極端に削がれてしまうことにまってしまいます。
 本作はあえてそうした冒険をしないことでとても見易い作品に(今のところ)仕上がっております。次々と問題が現れてひとつひとつ片付けて行く。物語の構成が整理されていることで登場するキャラに感情移入することが容易になっているようです。現時点ではバランスが取れた良い作品だと記しておきます。
 さて、「絵」の方ですが一部乱れは確認できましたが全く問題のないレベルでした。…まあこれは個人個人で受け止め方が違うと思いますが。最近は韓国や中国、東南アジアのアニメーターが制作にかかわる事は珍しくもありませんし、時としてソチラの方が乱れのない絵だったりするのですが、今回のスタッフクレジットを眺めていて「東洋放送」や「スタープロ」の時代を知るものとしては隔世の感でございました(笑) 彼の地の方々の能力が著しく劣っていた時代は完全に過去のものになったようでございます。