ケメコデラックス!第十二話『ケメコVSキリコ』(終)

 結局、物語の核心部分は「謎」のままお話は終ってしまいました。しかもラストショットは新キャラでしたし(笑) 聞いた話ですと「監督は二期を目指したようだがDVDの売り上げが思わしくなく、残念な結果に…」ということらしいのですが、そうだといたしますと本当に残念です。
 今のアニメの営業形態がDVDの売り上げ中心である以上致し方ないと思う他ありませんが、コアなアニメファン(あの時間帯に放送して一般客は視聴していないだろうとの予測からの結論)相手の商売が早晩破綻することが予想される現在、なんとか別の生き残り策を考えていただきたいと思います。そうでないと、この作品に限った事ではなくて、どれだけ楽しく面白そうな作品でも売り上げに直結しない(若しくはそう予想される)作品は製作されないという事になってしまうでしょうから。
 そうした暗い話題はともかく。最終回に相応しいアクション大会が展開されまして、見続けてきた者と致しましては幸せな時間を過ごさせていただきました。この作品の「ケメコ」のアクションシーンを観て、アニメーター諸氏は大変だったでしょうが、アクション場面を生かすも殺すも「殺陣」(演出)のセンスと、それに応えられる作画能力が不可欠な要素だと改めて認識させられました。これを観る事が出来ただけでも本作の価値はあったと断言しておきます。
 さて、ラストショットの「野中藍」さんを始め、登場だけしてほとんど使われなかったキャラや設定も多くありました。二期があれば生きてくるのでしょうが現状では難しそうです。監督として「二期など知った事ではない!」という姿勢であればオリジナルな展開もできたでしょうが、あえて原作に準拠していたということは色気もあったのでしょうし、それとは別に仮にこのシリーズで終わったとしても「原作はまだ続いているのにアニメ版だけで物語を完結させる権利はない」という水島努監督の配慮だったのかもしれません。
 せめて2クールの枠が確保出来ていればと思わずにはいられませんでした。ただ個人的に「お年頃の女の子や男の子の微妙な心理描写」は正視できなかった事だけは記しておきます(笑) この歳になりますと、あの手の描写はもう恥ずかしくて恥ずかしくて…(笑)