屍姫 赫 第8話『安らぎ』

 奇しくも「水島精二」さんの絵コンテ回でした。前半は先週の続きで、友人の心からの心配で人間の心を取り戻した瞬間に「ツヨシ」を葬った「ミナイ」の活躍が描かれます。そしてそのことに充実感を覚えてしまった「ミナイ」と、彼女の笑顔を引き出したオーリに嫉妬した伊佐木の描写が続きました。
 この時点では別にどうということもない普通の展開かと考えておりましたが、これら全てがこの後の悲劇の伏線になっていたのですから見事という他ございません。伊佐木というキャラは「いやなやつ」としてしか描かれてはおりませんでしたが、彼がいなくなれば彼の屍姫であるミナイも生き続けることはできない、そして「人のための屍姫」になりたいという望みすらも「執着」であるという重い事実。上手い流れでございます。
 アキラに「オーリに契約僧になってもらうか?」と問われて「私は伊佐木修二の屍姫です」と答え死んでいったミナイ、そしてその時鳴った彼女の携帯の笑顔の絵文字が悲劇の本エピソードを締めくくります。正直当作をアクションだけ観ていれば良いなどと失礼な事を過去に書きましたが、會川さんはこういうお話書かせるとお上手でございますね、脱帽。
 オーリが関わらなければミナイは死なずに済んだとも言えますが、オーリと関わった事で彼女は安らかに死んでいったのだと考えますと、果たしてどちらがミナイにとって幸せだったのかは自明でございます。オーリの存在が全てを「浄化」するための装置なのかもしれません。うん、面白くなってまいりました。