マクロスFRONTIER 25話『アナタノオト』(終)

 途中の中だるみも細々(こまごま)とした不具合もこの迫力の前では霞んでしまう、音楽と映像が相乗効果を発揮した実に見ごたえのある最終回でございました。こうしたスタイルのアニメはマクロスから始まって、やはりマクロス以外では通用しないことが再確認できました。
 「細々とした」部分については実は多すぎますし、そもそも録画できない環境での視聴ですので(壊れかけている)記憶に頼って不用意なことを書きかねないので割愛いたしますが、ひとつだけ。グレイスの中にいた人格がなんだったのか最後まで分かりませんでした(笑) どこかで説明があったかもしれないのですが、見事に記憶がございません。DVD借りてもう一度見直さなければいけないようです。
 さて、見事な最終回でしたしラストシーンも綺麗にまとめて大団円でございましたが、観終えて数時間経ちますと別の想いが湧き上がってまいります。なんと申しましょうか「完璧なもの」を見せて頂いたのに、心に残る「余熱」が不足しているのではないかということでしょうか。贅沢が過ぎるということは百も承知しておりますが、ほんの数時間で「過去の作品」として認識している自分の心に整理がつかないのでございます。
 熟考すること数十分(笑) この作品には外に向かって訴えるものが決定的に欠落しているからという一応の答えを導いてみました。もちろん「人はひとりだから誰かを愛する」ですとか「違う種族でも分かり合える」ほか、様々なメッセージを読み取ることは可能なのですが、これは作品を維持するための「方便」で、本作が放送開始当初から感じていたことなのですが多分監督自身そんなことを訴えようとは考えていないような気がいたします。
 ですから作中で展開するドラマはドラマとしての意味以上には感じることができず、もちろんそれで十分なのですが、う〜ん、「後に引く」部分に欠けているような印象と申しましょうか・・・。文才がないので的確な表現ができません(笑) 「食い足りない」ってのが一番なのかもしれません。
 いや、そんなアニメはたくさんございますが、本作の場合ほかの部分のレベルが高かったからこその感想でございまして、決して貶している訳ではないとだけは明記しておきます。ここまでできるスタッフなのだからこれ以上のものを! というアニメファンの貪欲な願いだと笑って下さいませ。
 ともあれ半年間楽しませていただいたことには素直に感謝したいと思います。