RD 潜脳調査室『手と手で』

衣食足りてなんとやら、人間という者は些細な事を思い悩むようになるのかもしれません。今回の依頼者(?)の石尾は飼い犬の魂と近づきすぎた為に、犬と同化を望みそれを実行に移してしまいました。・・・少し強引なお話かもしれません。
子供の頃「ソロモン王の指輪」のお話を聞いた人ならば、動物と自由にお話が出来るその指輪が欲しかったと思います。私も犬を飼っていたことがありましたので、ことある毎に「こいつは今何を考えているのだろう?」と思ったものでした。犬に限らずなにかしら生き物を飼ったことのある人ならばそう思うことは不自然だとは思えませんが、「同化」まで行くと「それはどうかな?」と感じてしまいます。
相手が哺乳類の場合、言葉は通じなくても「感情」は伝わってきます。それで十分ではないでしょうか。なまじ言葉が通じたら四六時中一緒にはいられないと思いますし、そうした微妙な距離があるからあの「毛むくじゃらの生き物」と損得抜きの友情を持てると思うのですが「石尾」さんはそれでは満足しなかったようです。
そういった訳でデジタルな世界に生きながら「生」な世界に憬れる人間の切なさのようなものを描きたかったのかもしれませんが、今回はあまり共感できませんでした。「ダップー」は可愛かったですけれども。でもこのレベルで不満を言えるのも、この作品のこれまでがあればこそでして今後も期待しております。それと今回は少し作画に乱れが見えたのも残念でございました。通常であれば気にもならないほどのモノでしたが、ここまでがここまででしたから目立つのでしょう。贅沢が過ぎるのかもしれませんね。