びんちょうタン『初雪、初ぞり、初飛行びん』『お空にお手紙びん』

『初雪・・・』は、初回の時の寂しさがどんどん薄まって、個性豊かな友だちが少しずつ増えてゆく描写が心地よかった。れんタンちくタンと一緒に空を飛ぶシーンは、びんちょうタンの寂しかった心が暖かい青空に溶けて行くようでした。
一転『お空に・・・』は冒頭から病気のびんちょうタンと正月の支度に忙しい他の登場人物との対比から始まって、タイトルもタイトルですから「死亡フラグ」かと思ってしまいました、・・・勘違いでしたけど(笑)
最終回としては制作時点で考えられる最善の終わり方と言えると思います。元々明確な到着地点などは存在しえない作品ですから、これはこれでアリなのでしょうが、そういった感想と同時に不満も出てきてしまうのは仕方がない事だと思います。
こういった作品は小さな、本当に小さなエピソードを丁寧に積み上げて行くことによってこそ真価を発揮すると思いますし、もしそういった制作環境が許されたのなら同じ最終回を迎えたとしても、こちら側が受けた感動はより大きかったはずです。これは制作側だけでどうこう出来る問題ではありませんし、今頃こんなことを書いたところでどうにもならないことは分かっているのですが、しかし惜しいです。
このアニメのようにただ消費されていく(ように見えてしまう)作品が作られてしまうのは、作品にとっても制作側にとっても、私たち視聴者にとってもとても不幸な事なのではないでしょうか。この作品も深夜アニメの徒花になって忘れ去られるのかと思うと、幸せそうなびんちょうタンの笑顔とは逆に、少し悲しい気分になってしまいました。